家 庭 医 術


肝臓の働き
今沢 武人氏記す
体内最大の重い臓器です。
位置は大きいので正確には表現しにくいのですが、体をお腹側から見た場合、やや荒っぽくいうと右側の肺の下にあり、半分以上は肋骨(ろっこつ)の内側に隠れています。

主な働き
・食事などで取り入れた栄養を体に役く立つ栄養や物質に作り替えたり、保存したりしています。
・体にとって害になるような物質を無害なものにしています。
・食事などで取った食べ物を上手く消化させる為の液体、胆汁を作っています。

●栄養の自己化(体に栄養を与える働き)
極めて大事なことに肝腎要(かんじんかなめ)という言葉が使われていますが、肝臓とはそれ程重要な臓器です。肝臓は右側の乳の下あたりにあり、内臓の中で一番大きな臓器であるだけに、その働きも実に多く、諸学者の研究によると相当数あるとされています。(現在、500種類程あるといわれています。)

大切な働きのひとつに栄養の自己化つまり胃や十二指腸で消化された栄養は小腸で吸収されて門脈という大きな血管をとおって肝臓に運ばれ、肝臓で栄養の仕上げが行われるのであります(体に役く立つ栄養に作り替えられる)。そしてそれらを心臓に送り込み全身に配給するようになっています。もしこれがうまくゆかぬと栄養が栄養として身につかないのであります。いくら胃腸がよく働いたからとて、肝臓の働きが悪いと栄養となりません。たとえあびるように栄養食をとったからとて、肝臓が正常でないと栄養は身につかない。つまり栄養の問題は肝臓しだいということになります。

肝臓のよしあしを判断するのは食欲の有無にあります。何を食べてもおいしいのは肝臓のよい証拠であり、食事のまずいのは肝臓の働きが悪いと見てよいのです。病人で食べられなくなると、栄養が身に付かなくなり、これに対していくら栄養注射をしたところで全く無駄であります。 交通事故などで無意識のまま、何も食べずに栄養注射・点滴だけで一年以上も生きている例がありますが、これなど肝臓の働きがあり栄養が身に付くからであります。

よく肝臓が悪いと言われて、それで案外食べる人がいますが、これなど肝臓ではなく脾臓が悪いのが大方であります。


●カロリーを貯える
つぎに肝臓はカロリーとなる糖分を貯える倉庫の役目、銀行の役目をしているのであります。食べる量は日によって過不足があるものですが、あり余る分は肝臓に貯えておき、たらぬばあいは肝臓から貯えてあるものを出して間に合わせるのです。

この倉庫である肝臓が悪くて、この貯えがよくゆかぬと、ちょっと食べ物が不足するとカロリーが足りなくなって疲れることになります。一食ぬいても疲れて働けないとか、昼飯が遅れたからといってがつがつするなどは貯えが十分でない、つまり肝臓の悪い証拠であります。

また肝臓は食事にもっとも関係が深い臓器ですから、食べ物が悪いと肝臓がくたびれて、しだいに悪くなるものであります。食べ物の中で肝臓がいちばん苦手としているのが(長く農耕民族として生きてきた我々には)肉類です。菜食本位であれば肝臓はじょうぶですが、やたらに肉食にしますと(若いうちや生まれ持って肝臓が丈夫な人はいざ知らず)肝臓はどんどん弱くなってしまうものです。また添加物の多い不自然な食品や砂糖の多い甘い物の食べ過ぎ、暴飲暴食は肝臓を傷めやすいものです。


●胆汁を製造する
肝臓でこしらえた胆汁は胆嚢(たんのう)という袋に貯えられ、これが胆管を通って十二指腸に送られて、ここで一つの消化作用が行われています。胆汁はアルカリ性の黄色い液体で、殺菌力もあります。
(胆汁は小腸の最後の方で殆ど吸収されて大きな血管である門脈を通って肝臓に戻されるリサイクル消化液です、足りなくなった分は肝臓で合成されます。胆汁酸には殺菌力がありますので小腸には大腸と比較すると細菌があまりいません。)


●血液循環の調節をする
さらに肝臓の役目としてあげたいのは血液循環の調節です。立ったり寝たり、じっとしていたり体を動かしていたり、その時の状態によってたえず心臓に戻る血液の量には不同があります。戻る量が多すぎるときは肝臓が引き受け、足らないときにはその分肝臓から出すようにして、心臓にはたえず同じ量の血液が入るように肝臓は調節の役目をしているのです。

もしこの調節がうまくゆかぬと心臓に故障が起こります。ちょっと走っても心臓がどきどきしたり、息切れがしたりする。寝ると下半身より戻る血液量が増え苦しくなる。この場合、心臓の罪ではなくして肝臓に大いに罪があるわけであります。食べ物の不正から肝臓が悪くなる。そうすると心臓にも影響するので、関係ないように思われる食べ物が、実は心臓を支配していることがおわかりと思います。


●脳と肝臓の関係
脳と肝臓とは血液量において、シーソーのような関係にあります。両者は常に反対に働くので例えば肝臓の働きが悪くなれば貧血状態となり、それに応じて脳は充血状態となります。怒ると肝臓の血液量は少なくなり、脳に多くなる。「頭に来た・頭に血が上る」というのは単なる言葉のあやではなく、事実なのであります。


●心と肝臓の関係
いま一つ肝臓について申し上げたいのは心と肝臓とが密接に関係していることであります、特に怒りは肝臓に影響します。

*喜怒哀楽といった心の状態 ← 密接な関係 → 肝臓の状態
楽しい時、楽しく笑っている時 → 肝臓の働きが良くなる
(肝臓への良薬)

悲しい時、怒っている時    → 肝臓の働きが悪くなる
(怒りは肝臓への毒)

(個人差はありますがあえて大げさに表現すると)
肝臓が元気な状態       → 傾向として穏やかな性格

肝臓が悪い状態        → 傾向として神経質、気難しい、怒りっぽい性格



●眼病と肝臓の関係
菜根譚に(さいこんたん:中国の古書、生きていく時に役に立つ、考え・こつを示した本。)
「肝病(かんやまい)を得れば、目見る能 (あた)わず。」という名言があります。
これは体験的な言らしく、目を悪くする根本原因が肝臓にあることを示しているのであります。

この根本を無視して、目が悪いと目薬を使うとか又眼科専門医で目の治療だけをする不合理さを自覚してほしいのであります。
(今沢氏は多くの臨床経験から、肝臓を元気にすれば諸々の目の病が改善することを実感されていらっしゃいました。目薬や目に良いサプリを飲むことは悪いことだとは思いませんが、根本原因を無視したやり方や治療方法というのは、本末転倒ではないのでしょうか。

また逆にいうとスマホ・パソコンなどで目を酷使すると、肝臓にも負担がかかるというこでしょうか。家庭医術のページも一気に読まずゆっくり日を空けてお読み下さい。)



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